3.1年目
2004/12/11




暗闇の執務室。
カチリと音がして、僅かな灯火が現われた。それに照らされて、その人物の姿がうっすらと浮かび上がった。
切れ長の瞳を妖しく光らせ、静かに紫煙を吐き出した。
その瞳は美しく、だが、何も映してはいない。
まるで、ただのガラス玉のようだ。
時折男が立てるほんの僅かな物音だけで、その部屋は沈黙に支配されている。
明かりを点けようともせず、男は革張りの立派な椅子にもたれて座ったまま、煙草をふかし続けた。それが短くなると、また、新しい煙草に火をつける。
その行動が何度も何度も繰り返され、時間は過ぎていった。



やがて、夜は終わり、また朝が来ようとしていた。
その部屋の大きな窓から、空が徐々に白み始めたのが見える。間もなく太陽が昇るのであろう。人々にとって、また新たな一日が始まろうとしていた。
部屋の中にも変化がおきた。
部屋中を覆っていた夜の気配が薄れ始め、男の姿をはっきりと映し出す。闇と同化していた漆黒の髪は僅かな光に照らされた。
最後の煙草が燃え尽きると、漸くその男が動いた。
静かに椅子から立ち上がった。ちらりと窓の外に目をやった男の動きが止まる。
しばらく男は動かなかった。黙って窓の外を見つめ、そのガラス玉から雫が零れた。
いつの間にか、雪が舞っていた。太陽が昇り始める。この雪もすぐに止んで、溶けてしまう。それ程の儚い雪の花だった。
男は瞳を閉じた。すぐに開いたその瞳にはもう涙の跡は見受けられず、最早なんの感情も浮かんではいない。ただ深黒のガラスだ。
男はコートを手に取ると、部屋を出て行った。
バタン、と扉が閉まった音だけが部屋に木霊した。



彼が姿を消してから1年が経っていた----------------。





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またしても、申し開きがありませぬ・・・・。しかも、短いし。
えーと・・・・これ「2.いってきます」から一年後のようですね、どうやら。(なんでひとごとなんじゃ!自分で書いたんだとうがっ!)
大佐、ショックでオカシくなっている模様。グレて煙草も吸い始めたんだね。
豆くんいったい何処に行ったんだろうね・・・・・。
すいません・・・・・・・。


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